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一般人じゃない独り言。
ディストの独り言。 ピオニーの独り言。 シンクの独り言。 アッシュの独り言。ブウサギまみれで働くとある軍人の独り言。 |
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ディストの独り言
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はーっはっはっはっはっはっは!! この、美しき、薔薇の! ディスト様が!! ジェイドに捨てられるなんてやはりそんなことは無かったのです!! ジェイドは私のことを必要としていた! ええ、それが世の条理なんですよ!! ジェイドにとってはフォミクリーが、その結果としてのネビリム先生復活が全てで私は何時も二番目でした。 知っていました。 あなたの一番に私がなれないことは。 でも、それでも構わなかった。 何もかもずば抜けて優秀で天才である金の貴公子であるジェイドよりも、譜業の分野だけは私のほうが勝っていた。 そしてジェイドの世界の一番には、私が――私の技術が必要だった。 知識と技術を持って私はジェイドの一番にかかわり続ける。 だから、良かったのです。 私が一番じゃなくても、一番が空席であるなら私が一番だ。 ジェイドが一番、私が二番。 ずっとそれが、続くはずでした。 そのジェイドが、レプリカのフォミクリーの研究をやめるといったのはもう何年前の話でしょうか。 彼と、彼の為のレプリカ技術しか持たないわたしは捨てられる。 ジェイドの一番に関わることで、その大切な一部となることでジェイドの一番に一番近いところに居た私が――捨てられる。 私にはそれしか無いというのに。 フォミクリーとそれに関わる譜業の技術をもって私はジェイドを持っていた。 それが無くなれば、私の世界がなくなるにも等しかった。 私の世界はジェイドだった。 それを手放せという。 私に世界そのものを。 そんなことが許されてなるのかと、私は研究に固執した。 それがなれば、ネビリム先生が復活さえしたなら! 私は再びジェイドを手に入れる。 世界を取り戻すことが出来る! そうしてヴァンの元で研究を続けて、何年たった頃でしょうか。 不意に、グランコクマからジェイドの使者と言う人物が私に接触を図ってきました。 私は名を変え、建前上師団こそ与えられていましたがほとんど表舞台に出ることもなく過ごしていました。 それに活動の拠点はほぼキムラスカ側。 わざわざ探さない限り見つかることは恐らく無いと思っていたのですが――考えを変えるなら、あのジェイドが手間を掛けてまで私を探したということ。 そう思えば気分が良かった。 ジェイドの使者とやらが持ってきた書状には、私の力が必要になったから助けを借りたいというもの。 そして私に会いたいと、そういうないようの物だった。 ふっ、ふふふふふふ、はーっはっはっはっはっはっはっ! ジェイドが、私の助けを必要としている? そう、私の、美しき薔薇のディストの助けを! 私の時代が来ましたよ!! その数日後極秘にダアト入りしたジェイドとあって、私は意志を固めました。 ジェイドが自ら私を求めたのです! 私にしか出来ないと、私にしか頼めないと、私の代わりは居ないと! 全てが終わったらグランコクマで過ごしましょうと!! ジェイドが! 金の貴公子が!! わ・た・し・に!! はーっはっはっはっはっはっはっ! うぇっほん、うぉっほん。 ふん。 そうまで言われれば答えないわけには行かないでしょう。 美しき薔薇のディスト――。 いいえ、サフィール・ワイヨン・ネイスが。 |
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ピオニーの独り言。
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ある日ジェイドが妙な奴を連れてきた。 予言師じゃないのに先を知っていると言っていて、過去については一般には流布していないようなコアなやつまでいろいろと指摘してきたらしい。 俺やジェイド限定で。 時期については結構アバウトだったらしいが、俺は凄く気になった。 なによりジェイドの奴から聞いたそいつの話す未来が。 やがてマルクトは最後の皇帝の血で玉座を濡らして滅びるらしい。 そしてその皇帝とやらが――そいつに曰く俺と言う話だ。 皇帝にはなるつもりだったが――そういう死に方は勘弁して欲しいところだった。 逆に言えばその時まで俺は後継者争いにも生き残って、皇帝になった、ともいえるが喜べないな。 皇帝就任から、その死期まで、全部もう預言には詠まれてる、ってか? 秘預言として隠されている第六譜石と第七譜石の内容を詳しく、まあ大雑把に語ったことと、第七譜石の在り処を知っているらしいこと、ジェイドが裏を取っているが、まあもうしばらくかかるだろうな。 会って見たいといったらやっぱり止められたんだが、そいつはむしろ積極的に俺を皇帝に就けたいらしいから大丈夫だろうって説得したらしぶしぶだけど納得した。 いや、納得させた。 そもそもそこらの一般人よりも非力な女性らしいしな。 俺も体術には少しばかり自信がある。 まあその女性も、どっか怪我でもしてたのかふらふらしながら魔物から逃げていて、それでも最終的には戦って勝ったらしいから胆力はある。 おもしろい。 ジェイドのやつ、本当に面白いもの拾ってきたな、とその時はそう思っていたんだ。 実際会って話してみると――なんつーか、たまらなかった。 わくわくしながら会いに行ったんだが、つぎつぎとその気持ちを突き崩されていた。 もともと俺たちの半分近くしか寿命が無いらしい。 生まれたときから人の半分しか生きられないって言われて、まっすぐに世界を見れるだろうかって俺は思った。 だから教団は死預言を隠すのか、と改めて感じた。 いつか必ず死ぬのだとしても、何年何月何日にあなたは死にます、なんていわれたら発狂するな。 俺の会ったあいつは、自分の命の事を知っていてからから笑っていた。 強いなって思ったな。 俺なんて目の前で自分の死預言を聞いただけでなんつーか、こうなぁ。 きっと顔色変わっていたと思うぜ。 でもそいつが俺に皇帝になれって、運命を覆せって言ったらなんか俄然やる気が出たな。 やっぱりそいつは面白い奴だった。 ジェイドからそいつが店を開くって言うからお気に入りのブウサギグッズを纏めて送った。 そしてらまとめて送り返されたから、俺は荷物の中の壁紙をジェイドの執務室に張った。 見つかったらすぐに引き剥がされたがな。 ジェイドのやろう、俺の可愛いブウサギをびりびり引き裂いたんだぜ! 座り込んで泣きまねしてればうっとおしいって払われるしよ。 あいつはもう少し未来の皇帝を敬えっての! ったく。 なんだかんだあって結局そのブウサギグッズはあいつの店に運ばれて店の名前はブウサギランドになった。 ぬか喜びだったな。 その店のメインメニューはブウサギの肉まんとブウサギのスープだった……。 それさえなければ、本当に居心地はいいし、いい場所なんだけどな〜。 |
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シンクの独り言。
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列になって、火山まで死ぬために歩かされる。 馬鹿見たいだって、思ったね。 それでもそのときの僕たちには抵抗する力なんて無くて、僕達をそこに引き立てる人間にとっては呼吸する無機物に等しい作られた“物”だった。 七番目のニセモノが選ばれて、それ以外は全部ゴミになったらしい。 世界の不条理なんてとっくの昔に知っている。 言葉を知っていて、意思を持っていて人の姿をしているのに、レプリカは人じゃない。 人じゃないからモノか、動物で、生殺与奪の全てをオリジナルに握られている。 抵抗も出来ないままに、火口に捨てられてそれが死になるんだと思った。 奴等にとっては、生き物を殺したって認識は無いんだろうけどね。 そんな時だった。 遠くから雄たけびが聞こえた。 こいつ等の声じゃない。 もちろん自分の声でもない。 続いて聞こえてきた足音に、僕達を連れてきた人間達もあわてて周囲を見回していた。 駆けて来たのは武器を持った男達だった。 それにこいつらが応戦しようとしたとき、周囲で火山のではない火が上がった。 たしか、あれは譜術。 火の譜術だ。 炎が上がって喚きながらばらけるあいつら。 次々と追い詰められて、火口から滑り落ちたり、変なでこぼこのあるでかいハンマーみたいなので殴られたり、次々と居なくなった。 それを僕達はずっと見ていた。 後からやってきてあいつらを皆倒してしまったそいつ等は、僕たちを傷つけなかった。 大丈夫だって言われて、保護されて、どこかに連れて行かれて、食べ物を与えられて風呂? に入れられた。 一体何の目的があるんだろう。 誰かの代わりにもなれなかった僕達ゴミに、何をやらせるつもりなんだろう。 そうやってそいつ等を観察している僕の前でほかのイオンレプリカたちが暴れ始めたから僕もまぎれて神経を逆撫でするようなことばかりやってみた。 怒ってはいるようだったけど、そいつらは怒鳴らなかった。 力で従えようとしなかった。 僕にとってそれは驚きだった。 研究者の一人だったディストとか言うやつが来たのを見て、僕はいつか隙を見て逃げ出してやろうと思った。 もう少し体力が戻ったら、と思っている間に名前とか言うのを付けられた。 不思議な気持ちだった。 僕たちだったのが、僕になった。 それは僕だけの名前だ。 イオンの代わりになれなかったイオンのゴミだった僕が、イオンの代わりじゃないシンクになった瞬間だった。 結局ディストとか言うのが出入りしている理由が分らなくて不気味だったし、他のレプリカたちのテンションに付いていけなくなったのもあって僕は脱走を図った。 阻止されたけど。 隙を見て何度か逃げようとしたけどそのたびに阻まれた。 その一度なんてディストと一緒に来た紅い髪の奴と大乱闘になったし。 今は負けたけど、次は負けないよ。 けど、結局逃げ出せないまま紅い髪のやつが――アッシュって言うらしい。 そいつがやって来て僕たちを集めた。 ダアト、ローレライ教団に潜入して、僕たちを作らせた奴のことを探るのに一人、欲しいって。 可能であるなら“シンク”に頼みたい、って。 頼み、だってさ。 ダアトに行かなかったら、ここを離れてどこか違う場所に移動するらしい。 僕はアッシュの持ってきたその話を受け入れた。 道具になることに、どこか安心を感じていた。 使えない道具だった僕が、何処の誰だか知らないけど、僕のことを名指しして使いたいといった。 僕が、僕に、僕だけが! 他の誰でも無い僕に! 役立たずでなくなる。 やっとゴミではなくなる。 この場所は暖かくて、柔らかくて、居心地が良かった。 でも僕にはそれが不安だった。 やっと、誰かに必要とされる。 レプリカの誰か、じゃなくて、シンクっていう僕が。 やっと、生きていてもいいって言われた気がした。 |
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アッシュの独り言。
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ある日突然、俺が教団の回廊を一人で歩いているときに、そいつはやって来た。 何処の家紋でも無いスミレが一輪だけ彫られた印章で蝋封してある封筒を持って。 ピジョンブラッドとも言われる高級な蝋で封がされていた。 スミレの印は馬鹿げているともいえたが、蝋の質を見れば分る。 それが馬鹿に出来ないということが。 渡された手紙には、幼児が見本と首っ引きで書いたような文字が書かれていた。 私はあなたを見ている。 どこに居ても見間違えない。 あなたが二人並んでも、私はあなた間違えない。 と書かれていた。 俺とレプリカの関係を示唆するような手紙だった。 伝えられた伝言とやらも内容が暗示的過ぎた。 一体何を知っているのか。 訝しく思ってもその答えを持つ人間はもう行っちまった。 何も決められないままに教団内部をうろついて数日後、またそいつに会った。 詳しい話をしたいというから日取りを決めてそいつに会うことに決めた。 会ったその場で、そいつは見事全部ぶちまけた。 俺のことも、秘預言のことも、バチカルのこともレプリカのことも、ヴァンの過去やホド崩落の理由、俺に読まれた秘預言の内容まで事細かに全てぶちまけやがった。 あいつの言葉に、一体どれだけのローレライ教団の機密事項が含まれていたことか。 誰かに聞かれたらと思うとぞっとする。 だが、そいつの話を聴いて俺の中で何か、迷いが消えたような気がした。 その話が確かかどうか、俺のほうでも少し探りを入れてみるつもりではあるが――恐らくは確かなんだろうよ。 聖なる焔の光に詠まれた預言が――一般に流布しているはずがねぇんだ。 まして敵国マルクトに、マルクトを滅ぼしてキムラスカが繁栄するなんていう預言を教団が――モースが洩らすとは思えねぇ。 そしてそいつの話の中に出てきたのが、あのスミレの蝋封の人間らしい。 そいつ自身は上官を通して仲介役をやらされているだけらしいので、スミレの蝋封の人間を知らないということだった。 ただ女では有るらしい。 疲れ切るような内容の話を聞かされて、最後にまたスミレの蝋封がされた手紙を持たされた。 今度のは、以前の奴より長文だった。 だが、長い分だけ誤字も脱字も多かった。 俺はそれを気まぐれに添削した。 人の書いた手紙を添削して返すなんて事、本来ならするわけがねぇ。 だが、相手が相手であったことと、どうせ長く手元には置けねぇ。 ヴァンの野郎に見つかると厄介だからな。 一度添削して返したら、奴の反応が面白かったと言うのもある。 俺はもともとヴァンの味方って訳じゃねぇ。 同士なんてもんじゃなおさら無い。 俺を救いたいなんてほざいておいて、手段が誘拐だ。 俺にレプリカを見せ付けて、結局俺はしばらくの間キムラスカに居たころと変わらない――いや。 それより過酷な実験にさらされて、薬まで使われた。 きな臭いと思っていたヴァンのやろうとしていることまで知らされて、相手がマルクトであること以外はあまり躊躇う理由は無かった。 それでも随分長く、返事は出来なかったが。 奴等は俺を急かそうとしなかった。 三十通近く手紙のやり取りをしたころ、俺は完全にヴァンに離反することを決めた。 初めての接触から一年以上経っていた。 一年、二年と時間がたって余裕が出てきて、あらゆる事を冷静に客観視できるようになってくると、何であれほど長い間ヴァンの野郎に固執していたのかわからねぇ。 奴の人気は高い。 外面をみていればまあ理由は分る。 だが、その内面を垣間見ればただの狂人だ。 冷静な皮をかぶるのが上手すぎて、事実を知ってからじゃなければなかなかその下の狂気を知ることは出来ないだろう。 スミレの蝋印の奴からの手紙に、ヴァンに対する言葉で印象に残るものがあった。
どんな過去を持っていて、暗澹たる未来をどんなに憂えるのだとしても。
今を蔑ろにすることを私は許せない。 今を殺した先に未来なんてあるはずが無い。 とな。 全くそのとおりだと思う。 今を積み重ねて行くことでしか、先は作れない。 確かに、俺はヴァンのことを敬愛していた。 だが、今はもう違う。 “あれ”は、違う。 奴はそのうちめったに手紙で誤字をしなくなった。 それをつまらないと思った俺が居た。 |
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ブウサギまみれで働くとある軍人の独り言。
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ある日、私は上官殿に呼ばれてその執務室まで赴いた。 何があったのか。 私の階級では上官殿の執務室まで呼ばれることなどほとんど無い。 上官、といえば一括りになりますが、私とその上官殿の間には四つ、階級が挟まれていました。 優秀な人でしたが、どちらかといえば学者肌の軍人。 戦場に立って早々、死霊使いなる渾名を得た人でした。 そこには私のほかにも幾人かの軍人が呼びつけられており、そこで私たちは有る人物の監視と補佐、そして護衛を任務と命令されました。 構いませんね? と一応確認系で念押しされたのですが、逆らう理由もなければ逆らえもしません。 上官命令は絶対です。 女性の身ではありますが、中では最も階級の高い私がその任の責任者となりました。 任務の対象人物も女性であるとの事。 故に私が選ばれたのでしょう。 私の出会ったその人は、ひょろりとした体力のなさそうな女性で、足に怪我でもしているのか、重心のバランスが崩れている人でした。 少佐に連れられて私たちはその人に会ったのですが――初対面で肝が冷えました。 戦場を切り開き、マルクトを勝利へ導く英雄であるのと同時に、国内においても間違いなく死霊使いの異名で恐れられる少佐に対しての態度と言葉の数々。 少佐の表情は変化しているようには見えませんでしたが、私は何時あの女性が少佐に引き裂かれるかとはらはらしていました。 少佐が立ち去ってほっとしたのもつかの間、数日経たずに今度は殿下が彼女を訪ねてくる。 お二人で、あるいは少佐も交えた三者で別室に行き真剣な話会いをしたり、談笑をしたり、一体彼女は何者なのでしょうか。 疑問に思いましたが、尋ねることも出来ません。 怯むでもなく大声で少佐と嫌味や皮肉の応酬をしているのも聞こえましたが、その後には大抵胃が痛いといってベッドに丸くなって寝ているのをみて、この人も普通の人なんだな、とどこか安心したものでした。 時々扉越しにすら伝わってくるような冷たい空気にさらされて全く無事で居たなら、いずれカーティス少佐に対する最終兵器と称される日が来たかもしれない、とふと不埒なことを考えました。 いけません。 体力は一般人以下、文字の読み書きも知らず、こちらの常識も通じない。 譜術も使えず、治療譜術をかけてみてもその効果は限りなく薄く、妙な女性でした。 後に剣を教えることになったのですが、その上達速度も、まるで一般人並で、光る才能など感じることはありませんでした。 彼女の一体何が重用されているのか。 やがて彼女の身柄は宮殿付近の家に移されそこで彼女は店を開く、と言うことになりました。 実質上の監禁から軟禁に移行、と言うことでしょうか。 彼女の行動が限定されていることには代わりませんが。 ひと悶着有った末に出来たのは、ブウサギランドなるブウサギだらけの店でした。 殿下の意向らしいので私は何も言いませんが、恐らくその時の私の雰囲気は言葉よりも雄弁に何かを物語っていたと確信があります。 鍛錬が足りません。 それから私が彼女のことをルーア、と親愛を篭めて呼ぶようになるまでそう時間はかかりませんでした。 我が上官殿との舌戦を除いては、何もかも全く普通の女性で、むしろ親しみがもてました。 むしろあれだけの舌戦を繰り広げる人でしたが結局のところ、終局においては殿下や上官殿に手玉に取られているあたり、やはり一般人なのでしょう。 こちらで店を開いてから、頻繁に殿下や上官殿が顔を出すのが、むしろ私の胃に悪いです。 気が付けば、ブウサギにまみれて働いて彼女と共に数年が経っていました。 殿下が即位されて、新しい皇帝陛下はブウサギが好きだとあっという間に噂は広まりました。 売れなかったブウサギグッズもそれを機に売れ始め、彼女は殿下の即位と同時にブウサギランドからブウサギの肉を使用した軽食メニューを全て取り下げました。 私はそれが好きでしたので、少し残念でしたが……。 彼女に対して私が持ったイメージは、最初の印象こそ特異な気がしたものの、総合的には気のいい一般人でした。 大佐や陛下と何を話しているのか知りませんが、彼女を知れば知るほど懸命に頑張るただの人でした。 懸命に生きる姿は好ましい。 彼女を守ることが、私の最優先任務です。 ですがそれが無くても、今なら友として、私は彼女を守りたいと思うでしょう。 ルーアッシュ。 |