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深淵ボート 2
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目が覚めたとき、そこは当たり前のようにエンゲーブの宿屋とは思えなかった。 首を回せばリュックはすぐそこに。 ぐりぐりゴリゴリと動いている。 もう孵化か。 もういちどぐるぅりと見渡して、考えた。 もしやここは、音機関狂憧れのタルタロス? ジェイド関連でエンゲーブでもないとなればそこしか思いつかん。 これからエンゲーブにいくのか、もうエンゲーブを発ったのか。 取り合えずエンジン音は聞こえる。 まあ、なんだ? 大型艦としては静かなもんだ。 手足も自由に動く。 それどころかポーチも奪われていない。 ライガの卵以外たった一つの所持品といえばそうなのだが。 拘束されているようでもない。 室内だって、まあ陸上走行艦? としてみれば十分に広い。 だってほら、二段じゃないベッドがある。士官用の個人部屋かな。 さっさと降りて二人を探しにいかなくちゃなぁ、とも思うけど、放っといても死にそうに無いし、もうしばらく放置しといてもいいかと思う。 むしろ死にそうなのは私だ。 拘束もされていないし、待遇はいいんじゃないだろうか? もしかしたら、ただライガの卵と兵達を一緒にしておけなかっただけかもしれないけど。 それでもいいや。 ジェイドのツンデレが発動したと思っておこう。 久しぶりの挨拶もなかったけど、あの会話は顔見知りだってことを肯定していた、よね? とりあえずタブレットタイプの念薬を口に放り込んで転がす。 リュックからすでに殻の割れている卵を抜き取って抱え込み、うだうだとする。 行動する気力が根こそぎない。 念薬で回復したとはいえ、疲れた。 いまでも大分マシになったとはいえ、呼吸するたびに息に血が混ざる。 窒素と酸素とアルゴンと二酸化炭素。 大気の組成は恐らく変わっていないはず。 呼吸できているんだからそこまでは恐らく同じ。 ならば何が違うか。 事前知識として、この世界には音素というものがあらゆるところに有ったはずだ。 人体も音素と元素で出来ているとか。 なら、きっとこの反応は音素だ。 音素に対するアレルギー反応。 だんだんと馴染んできているのは体で感じる。 アレルギー反応を起こすということは、音素を取り込んでいるということだ。 時間がたてば念薬や念具を使わなくても大丈夫になると思うし、恐らく譜術も使える。 脳内にお伺いを立てれば、GF達も肯定した。 どうやら彼等は音素の世界が肌に合わないようだが。 魔力の世界では生き生きとしていたのだが。 ぐらぐらと内側から卵を割ろうとする子ライガを手伝って、殻を除去する。 まだしっとりとした体毛。 ぺしゃんこだが、タオルを取り出して乾燥とついでにマッサージ。 つか、こんなんでいいのかね? むしろ生まれたばかりの子犬の世話だよこれじゃ。 卵から孵る生物って、ヒヨコぐらいしか見たことないんだけど。 ぐりぐりしていると、やがて目が開いて私を見た。 ライガって、卵生だけどすり込みってありだろうか。 ティアラはつけたままだけど、幼すぎて言葉を持たないのか、子ライガの言葉は唸り声にしか聞こえない。 つか、ライガクイーンが稀に見て知能の高い生物だった、ってことか? わからん。 とりあえず手を出せば、甘噛みすれども牙をつきたてる様子はなし。 胎生とちがって、きちんと牙も生えそろっているし、きっとすぐにでも肉を食えるだろう。 「腹減ったか」 声をかけても子犬のように鳴くばかり。 うはぁ、チーグルよりよっぽど可愛い!! うん。 腹減っただろう。 床の上におろせば、程なくして自分で立った。 どうやら健康体に生まれたらしい。 よきかな。 狭い室内を移動すると、ちょろちょろと後を付いてくる。 刷り込み成功? 私母? とりあえずビニールシートを床に敷いて、その上にポーチから肉を取り出す。 無限の収納を誇る念具のポーチだ。 向こうの世界の魔物の肉だけど、いいよね? ヘッジヴァイパーはアルコールにつけるといい感じに旨い蛇酒になるし、コカトリスは鶏肉だよ鶏肉。 アルケオダイノスはしとめてガーデンに持ってくといい値段で売れるんだ。 とりあえずコカトリスの手羽先肉をシートに並べてて子ライガをおしやる。 と、くんくんと鼻を鳴らして噛み付いた。 そして、食べられなかった。 むう、羽ごと一匹はさすがに噛み付くだけの力がないか。 牙もまだあるにはあるが短いし。 コカトリスは肉より羽のほうが値段がつくんだけど、これは仕留めるのに失敗して羽汚しちゃったからなぁ。 仕方なしに手早く解体していると、ふいになにか母と呼ばれたような気が? 振り返るとライガ。 え? ママ? そうかそうか。 あの時はまだ意思のある鳴き声じゃなかったんだろう。 それでもって今はままと来れば、刷り込みについては疑う余地も無い。 私は安心してティアラをはずした。 これから魔物とも戦うんだもん、いちいち声なんか聞いてられない。 羽を毟って食べやすそうな大きさに解体して差し出すと、喰いついた。 今度はブウサギの肉でも用意しとこう。 さてどうしよう。 問題は私がどれだけ意識を失っていたかだ。 このあとは、たしか神託の盾騎士団と、六神将たちの襲撃があったはず。 実はもう襲撃があって、放ったらかされたままタルタロスの主導権代わっていたりして。 今は基本自分自身が戦力にならないしなぁ。 鶏肉を食べた子ライガ達が真っ赤な口元のまま擦り寄ってくる。 よしよし、といいながら、濡れタオルで口元をぬぐってやり、膝の上に丸くなって寝ようとするのを抱えあげて考える。 名前、付けるべき? つか、いまのところ二匹の区別つかないし。 よく見れば、オスっぽい。 バンダナでもつけるか。 そのうち呼べば反応するようになれば大丈夫だろうし。 とりあえず後回し。 二匹を首だけ出すような感じでリュックに詰め込んで背負う。 ちなみに大小の世話もしなきゃならないかなぁと思っていましたが、すでに食べ終わったビニールシートの上でしっかりと。 まとめてビニール袋に詰め込んで部屋に放置。 後片付けは神託の盾騎士団に任せましょう。 ゲーム本編では見なかったよなぁ、こんな部屋、と思いながら扉を開くと、兵士が一人。 見張りかあるいは。 びしっと敬礼。 「おはようございます」 マルクトの上級士官用の制服って、ファンタジックすぎるよね? とか、とっさに考えた私の頭脳は立派に現実逃避。 上級仕官がファンタジックすぎるなら、一般兵はえーっと、……ださい? 「……おはようございます? あの、ちなみにお聞きしたいんですが、この艦における私の扱いはどのように?」 「は、賓客としてお迎えするようにと言付かっております」 「賓客……」 そりゃたいしたもんだ。 もしかしてこのままグランコクマルートかな? ピオニーにもあいたいし、恐らくジェイドとしては会わせようとしているとおもうんだけど。 「じゃあ、艦内を見て回ってもいい?」 「ブリッジと機関室以外であればご自由にどうぞ。よろしければご案内しますが」 「付いている様に言われた?」 「いいえ」 「ならいいわ。甲板の方に出たいと思うんだけど、どっちかしら」 「左奥の階段を上った先になります」 「ありがとう」 一般兵に階級社会を見て少し安心してしまった。 だって、アニスとかジェイドとかティアとか、あんた等本当に階級社会の人間? とか思ってしまったから。 ルークに至っては、彼を王族と認識するなら人間としての好き嫌いは別として行動を責められるいわれは無い。 だって王の一族だもん。 傅かれるのが当たりまえ。 頭を垂れなきゃならないのは王様に対してくらいで、場合によっては両親すら彼に頭を垂れるようになるだろう。第三位王位継承権保持者。 王様になれば、親すら部下だ。 背中にゆさゆさと揺れるライガの子供を背負いながら、示された廊下を進む。 画面越しに見ていたころより臨場感があるなぁ、とおもって、当たり前かと思い直す。 これは、本物だ。 階段だ。 本当に階段だ。 艦内だけだろうけど、ありがたい。 今の体は梯子を上るだけでも無事じゃすまない。 登って、そっと扉を押し開く。 おお、人間がいっぱい。 ジェイドもいる。イオンもいる。 こっちに気が付かないねぇ、と思って、自然と絶をしていたことを思い出す。 気配断ちはバッチリだ。 気が付かれたらむしろ泣く。 おお、ルークよ、まずはイオンに話しかけるかい? たしかに、あの偏屈ジェイドに話しかけるよりは話しかけやすいだろうね。 おお、勇気があるね、今度はジェイドか。 私はずり落ちかけたたリュックを揺すりなおして甲板に出た。 「やあ、両手に花ですね、ルーク」 小さいときのジェイドからも、アビスをやる前に字面でおっていたジェイドの言葉ともイメージが違いすぎてがっくり。 けど、アビスゲーム本編の彼とも、同じ声じゃない。 確かに低めの声だし、聞き心地のいい声ではあるけど。 「やーん、大佐ったらv」 「わ、私は……そんな……」 ……大佐!! そういえばまだ大佐! 会う時までにまだ左官だったら一発殴るって言ったのに! そりゃ、期限は定めなかったけどさ。 うふふふふふ……。 「おめーじゃねーよ。アニスとミュウだろ」 「……」 「ご主人様、違うですの。ミュウは男ですの」 「おまえオスかよ!?」 「まあまあ、落ち着いて」 「そうよルー坊。ガイのように天然誑しになれとは言わないけど、その答えはつまんないわね。どうだうらやましいかこのやろう。それぐらい言って見なきゃ」 「キリエ……目が覚めたんですか」 名前に感慨深い感情が篭められているような気がする。 「おう、目覚めたさジェイド。まだ左官だってね。伝言したよね? 今度会うまでに、将官になってなかったら一発殴るって」 からかいの笑みを浮かべながら握った拳をアピール。 「もう私も貴方にそう扱われるような歳ではないんですがねぇ」 「たかだか三十五歳だろ。私の三分の一も生きていない餓鬼が粋がるんじゃないよ」 こぶしについてはさらりとスルーされた。 あ、なんかこの周囲だけ空気の色が変わった。 アニスなんかあからさまに凍り付いてるし、ティアも驚きを隠せていない。ルークの丸い目もナイスだ。罪を知る前に、ちゃんと目を開いて世界を見る事ができればいいのに。 ジェイドに至っては何かしらショックを受けているようだけど……。 時間を鑑みずに年齢だけを数えるなら、私は35×3で105以上と言うことになる。 立派におばあちゃんですねぇ。 でも本当は四分の一とか言いたかったんですよ。 わたし、立派におばあちゃんですから。 「自己紹介がまだだったね。私はキリエ。ミドウキリエ。キリエがファーストネーム。ミドウがファミリーネームね。よろしく、ルー坊、メティ。ちなみに後ろの二匹はまだ名無しです」 「あ、はじめまして私はティア・グランツです」 「俺はルーク・フォン・ファブレ。つかテメー、ルー坊はやめろっての!」 「はーい、アニス・タトリンでーっす」 「元気がいいですね、アニス」 「えへv ほめられちゃったv」 その猫も、内心の腹黒さも、立派にほめるに値すると思うよ。 アグゼリュスのときだって、子供特有の責任転嫁、でしょうあれは。 子供が子供に責任を転嫁する。 当たり間えっちゃ当たり前。 階級はともかくとして、立場が一番弱かったものが犠牲になるのは世の常。 「卵、もう孵ったんだな」 「ええ。元気な子供達で、もう食事も終わらせてきたのよ」 「……まさか、人肉?」 「それこそまさか。鶏肉よ」 魔物のだけど。 「ところでお尋ねしたいのですが、なぜ私たちのことを? お会いしたことは無かったと思ったのですが」 「はいありませんね。ですが、あなたたちのことは知ってますよ。ずっと見ていましたから」 「ずっと?」 「気にしたら負けです。とりあえず、お話し合いの続きをどうぞ。わたしは導師イオンにもご挨拶をしてきますので」 「では。ルークところで先ほどの誘拐とは何なのですか」 「あ、ああ。……知るかよ。おまえ等マルクトの連中が――」 BGMは風切り音と、人の声。 そして目の前にいる緑っ子! シンクのような二歳児も虚しいが、イオンのような二歳児も寂しいねぇ。 「はじめまして、導師イオン」 「あ、あなたは」 「御堂霧枝と申します。どうぞキリエと」 「はい。ではキリエと呼ばせてもらいますね」 「とりあえずこれをどうぞ」 「これは?」 差し出したのは、私が含んだのより二つも三つもランクが上の念薬だ。 しかも液薬。 はっきりいって味はとんでもなくまずい。 高麗人参とか、FF8世界産エリクサーとか、一本一万円栄養ドリンクとか。 とにかくひたすらブレンドしてみた。 自分で言うのもなんだが後味最悪。 酸味があるから、多分牛乳を入れたら凝固する。 「薬です。劣化による体力の低下だろうが乖離だろうが、何であれ体に異常とされるものを正常と呼ばれるものに矯正しますただし、味はひじょーにマズイ」 オリジナルはすでに死んでいるし、シンクにしたってイオンにしたって完全同位体ではないはずだからビッグバンとかの心配はしなくてもいいはずだ。 「あなたは――僕のことをご存知なんですか」 「ええ、知っているわイオン。世界を背負ってしまった二歳児。もう一人の貴方の兄弟は二歳にして世界を諦めてしまった」 詰めた呼吸の音だけが聞こえる。 かすれた吐息は声にもならない。 勝手だと思いつつも、私はイオンを抱きしめて、頭を撫でた。 私、これでも母であり。お婆ちゃんなのだ。 すでにオバタリアン精神も持っている。 「無理して導師でいなくてもいいわ。貴方はイオンの名前を継いでいるけれど、決して彼と同一人物じゃないから。ね」 固まった体を開放して振り返ると、そこにもやはり固まった人間が。 「あ、あなた導師イオンになんてことを!」 「抱きしめて抱擁を」 「そんなこと見れば分るつーの!!」 「何だ君も抱擁が欲しかったか。では」 「な、ちがっ!」 う、とまで言わせずに抱きついた。 ライオンのようだな、と思った赤い鬣をかき回す。 見事ルークも固まった。 そのあたまをよしよし、とぽんぽんはたき、体を離す。 真っ赤だ。 ふりかえると、イオンが今更真っ赤になっていた。 どうだ熟女の体の柔らかさ!! 子供を産んでからブラのサイズも2カップ上がったんだぞ!! ティアのメロンにも今なら負けないはずだ!! ああ、なんか女性二人が震えてる。 それを尻目にイオンがなんだか決意してるし。 キチリ、と密閉キャップの開かれる音がしたのと、 「ずっるーい!! アニスもルーク様にギュってしたいー!!」 と叫ばれるのがほぼ同時。 宣言どおりにアニスがルークに飛びつくのと、イオンがそのまっずいドリンクに口をつけるのもほぼ同時。 飛び掛られて騒ぐルークと、手を付けかねるティア。 うれしそうなアニスに、イオンが凄まじい形相で薬をの呑む。 ……ごめん。こんどはもう少し美味しい感じの薬を作るよ。 三人の騒ぎを放っておいて、私はイオンに紅茶のペットボトルを渡した。 受け取ったイオンはごくごくとそれを飲み干す。 事前に生体スキャンを実行していれば、場合によっては薬のランクを一つ二つ下げられたかもしれない気がするけど、ここは飲み込もう。 完璧赤字だけど。 事前の状況はわからないけど、後でイオンが寝入ったときにでも生体スキャンして状況を調べておこうと思う。 恐らく問題は無いと思うけど。 「あ、ありがとうございます」 「どう? って聞くのも変だけど、不味かったでしょう」 「あ、はい、えーっと」 「素直に言っていいのよ?」 「不味かった……です」 「そうだ、体の調子は?」 「あ、はいっ! なんだかだるさも取れて、とても調子がいいです!」 「それはよかった」 ぽんぽんと、優しく頭に手をやると、はにかんだ笑みで見上げてくる。 心は姿に影響されるから、すでに純粋に二歳児とは言えないだろう。 刷り込みで知識も与えられているだろうし。 でも、子供らしい笑みだとは思った。 それだけでもよかったと、大人の一人としては思うのだ。 常に子らの世界を潰すのは、大人と相場で決まっている。 逆を言えば、子供の世界を守れるのも大人しかいないわけだ。 「ちょっとあっちで騒ぎに背を向けている馬鹿のところに行って来るから。ルークのこと、お願いしていいかしら。彼にとっても、貴方は始めての友達、だから」 「はい、もちろんです」 いい子いい子と名残惜しく髪を触って背を向けた。 緑ヘアーさらさら。 「記憶喪失……ね。まさか……」 「背後の騒ぎは聞かない振りしてそれですか?」 「内容までは聞こえていませんので、楽しそうだからいいじゃないですか」 「ま、邪魔する理由も無いけど。間違って落ちてもアニスあたりなら無事そうだし」 色々な幸運も会ったんだろうけど、それにしても無事だったし。 「ピオニーから伝言は聞いた?」 「……ええ」 「答えは、出せた?」 「いいえ」 「貴方の技術が生み出した子供達は貴方のすぐそばにいるわ。フォミクリーをただの、人に使われる技術で終わらせるか、あるいは昇華させるか。選びなさい。まだ選択できる余地が有るうちに。一度生まれてしまったものは二度と消えない。天才とは数式の途中計算をいれずに答えを出せる人間にしか過ぎない。数歩先を歩んでいるけど、それは例え貴方がいなくても人の歴史の上で必ず生まれた技術でしょう。凡人でも時間をかければ同じ答えにたどり着く。けれどそのときフォミクリーは、ただの戦争の道具に成り下がるかもしれない。貴方以外の手で進化するフォミクリーは、レプリカに劣等種という看板を押し付ける。そして人は自らの下位における者を見つけて優越に浸る」 言葉のない沈黙。 ただ響くエンジン音。 私はジェイドを置いて立ち去った。 恐らく一般兵の部屋か、あるいは来賓室のような部屋があったので、そこに進入した。 鍵は開いていたし。 兵士が一人いたが、絶をしていたせいか気が付かれなかった。 ライガも二匹いるのに。 兵士は立ってはいたが、そりあがった顎がふらふらと揺れていた。 敵は睡魔か。 しばらくするとやってきた赤毛。 狙い通りか? 兵士が取り次ぎ、大佐たちがやってくる。 そして目の前で繰り広げられる会話。 私の目的を果たすためには、ジェイドの傍にいることは必須なのだ。 もう詳しいタイミング覚えていないし。 「モース様は、スコアの成就だけを祈っておられます」 「ならば、スコアが詠めば死すら受け入れろと? あるいはそれが滅びでも」 「キリエ。貴方の立ち入りを許可した覚えはありませんが」 「された覚えも無い。言い方を変えよう。私は最初からこの部屋にいた」 彼等にとっては突然の乱入者か。 カーテンの向こう側にはいたが、別に隠れていたわけでもないのだが。 「預言なんてただの言葉以上の意味はない。東で不幸を詠まれたからといってわざわざ東に行って不幸を甘受する馬鹿がどこに居る。ケテルブルクでスイカを食べろと詠まれたらわざわざ探して食べるのか?」 「そういうわけじゃ」 「言っているのも同じだろう」 「キリエ」 「あいよ。年寄りは引っ込みますよ」 老兵は去るのみ。 けど言うことは言う。 「あんまりルー坊をからかうんじゃないよ。ジェイドは、階級社会においてはたかが大佐だ。たかが佐官だ。国は違えどあいては第三位王位継承権保持者。時期国王にも等しい。それにティア、アニス。君達もだ。仮にも軍人だろう? 君達にはルークがどんな人間でも、批評する権利すらない」 言いたいことだけ言って立ち去るってのは、いい立場だね。 なんていうか、一般兵の視線が突き刺さるけど。 一般人のころはこういうのぜんっぜん分らなかったのに、念使いになると分りすぎて痛い。 よっこいせっ、とライガを抱えなおしながら私は廊下に待機した。 目が覚めているようだけど、とりあえずタルタロスが終わるまでは我慢してくれ。 子ライガたちよ。 閑話一 あとがき 不思議人キリエ! なんと言うか、文中の西瓜のたとえは他に季節感満載の食べ物が思いつかなかったというか。 冬のぶりは旨いけど夏でも食べられる魚だし、モモやりんごや柿なんかの名前にしようかと思ったけど、西瓜ほどしゃきっとしない感じが。 西瓜と言えば夏! と言うほど、他の果物や食べ物だと季節限定間が感じられない。 季節になって出回ればああ、この季節だったかこれは、と思うものも沢山あるけど、先に名前を挙げられると、あれ?この果物って季節はいつだったっけ。 といった感じになる。 私もどうやら立派に季節感を喪失しているようだ。 夏と言えば西瓜! しか思いつかなかったし。 何時までたっても季節感を忘れない君が大好きだぞ、スイカよ!! 以下スイカ語り。 スイカスイカスイカ! 何がいいたいかと言うとスイカが大好きと言うことだ。 やはり夏はスイカがいいし、夏のスイカはすばらしい。 熱い熱いとうだった日には、いっちょスイカの八分の一でもしゃくっと食べてみたならば、あっという間に体は冷えひえ。 開いていた窓を全て閉め切るこの不思議。 甘くて美味しく水分と食物繊維もあり、排尿作用により腎臓も活性化。 やはりスイカは夏のために有る食べ物なのだ。 その一方でやはり冬のスイカは冗談じゃない、ともおもう。 せっかく部屋で暖を取り、厚着して暖房入れているのにそれを内側から台無しにする。 それに、暖かいところから出たくないのにトイレが近くなるし。 預言に冬にスイカを食べろと言われたら、探してでもあんた等食うのかよ!俺は冗談じゃないね。 と言った所でしょうか。 いや、スイカだけでもっと語れそう。 逆に冬の果物、と言えばみかんとか? けど、これはハウス物も多いし早生種もあるし、箱売りにされるような季節以外には買わないけど、通年スーパーで見かける気がする。 スイカとくらべるとやっぱり季節感も曖昧だようなぁ、と。 あと、なんと言うか。 書いていてこういうのもなんですが、東で不幸を、っていいんでしょうかね。 一応このサイト、エデンの東にあるんですが。 |