キムラスカとマルクトの国境ラインに国家樹立を宣言し既に5年程が経っていた。
 初めは小さく未熟な土地だった場所を拓き興して居た彼らだったが、やがて集まる人々と共に街の規模は大きくなって行った。
 どこに言っても預言預言といわれるのがうっとおしくなっていた彼女らだったが、預言廃絶都市を宣言したところ年を経るにつれてさまざまな経歴や年齢を持つ人々が集まってくるその姿にあるべき人の姿を見ていた。

 そしてその姿は、預言を戴く二国家に、世界にはこれほど預言を必要としない人々がいるのだということまでも知らしめた。
 預言に無い物は存在しないと戦争を仕掛けられたこともある街だったが、彼らはそれらのこと如くを退けその地に根を張り続けていた。

 やがてホド戦争の折にはフェレス島、ホド島の殆どの住民を拾い上げ助け、それらの住民も吸収する形で彼らの勢力は力を伸ばしていた。

 そこはいつの頃からかガーデンと呼ばれるようになった。
 自らをガーデンのシードだと誇らしげに告げる設立者達を敬ってそこの住人たちが自然とその場所をガーデンと呼び、やがて外の者たちもそこをガーデンと呼ぶようになった。

 彼女達三人には、世界の新たな可能性となるかもしれないものたちを育むだろう場所につけるなら、この名前しか思いつかなかったしこの名前だけで良かった。
 庭は大地のうえにあり、彼女達と言う開墾者を得て土が調えられそこに撒かれた種はいつか芽を出すだろう。
 それを願う。

 キムラスカの王女に関してはその死を防ぐためにガーデンは陰からその母体の調子までを整えるように行動していた。
 キムラスカの王女が死産とならなければ、そもそもメリルは取り替えられることは無かったはずであり、ラルゴも黒獅子ではなく砂漠の獅子王であれたのではないかとそう思ってだった。
 ただ、それは多くの死預言を覆すものであるからして、王女の誕生を祝いに来たはずの教団によって紅い髪を持って生まれたナタリアが謀殺される恐れもあった。
 だが、彼女達は三人しかいない。
 そして街を興した彼女らには、今は大切なものがある。
 それは今のように彼女等の行動の足枷となることもあったが、この世界を立ち去る日まで彼女達はそれを捨てようとは思わない。
 旅立つ日は捨てる日ではなく彼女達の興した街が一人で発つ日だ。
 キムラスカには命を助け、そして預言に死が囁かれていることも示唆もしてきた。あとは彼ら次第とそう思うことにした。

 でもまあ、キムラスカ王家は紅い髪の女児の誕生をダアトから使いが来る前に広く発表したので、ナタリアが謀殺されてもメリルを取り替えて据えることはできないだろう。
 髪の色が違いすぎる。
 アッシュの婚約者はナタリア=メリルではなく王家直系のナタリア王女か、と思ったがナタリアが自分自身で紅い髪を持ち王位継承権を持っているからには将来の王位のためにアッシュと婚約する必要も無いわけで、そうなると本当に婚約するのかもするとしてもいつになるのかもわからない。
 場合によっては臣下で終わる事もあるだろう。

 ホド島に関しては、島そのものの救出は諦めた物のその住民に関してはガルディオスの家のマリィベルとガイラルディアを初め、施設にいたヴァンデスデルカの救出にも成功していた。
 すでに超振動の力は放たれ、ホド島は沈むだけとなっていたが、ヴァンと未来にティアと名付けられる子供を身ごもった母親を救出できたのは彼女たちとしては大きな成果だった。

 預言を守り、預言に守られることで血と世代を繋いできたガルディオスとフェンデの両家だったが、ここで預言に裏切られた事は強く感じていた。
 沈んだホド。
 そして彼らを助けたのは全く預言に詠まれていない、預言を破棄した集団だった。

 彼らは、もう預言に従う意義を見出せなかった。




 ホドとホド諸島の住人を一度に受け入れた彼女達はガルディオスとフェンデの両家にこのガーデンの後継者、統治者となるべく教育を施し始めた。
 マリィベルとヴァンデスデルカ、あるいはガイとこれから生まれるティアが結ばれて二つの血筋が一つになれば面白いな、などと思っていた。
 案の定血筋の拡散を防ぐ役割をも共に失ったヴァンデスデルカは、やがてマリィベルの好意を受け入れて将来を誓い合った。

 ガーデンはそれを言祝ぐ。

 彼女達の知らない未来の形が一つ、また明確になった瞬間だった。
 街をあげて祭りをした。







以前の物との重要な歴史改変ポイント。
ヴァン、敵じゃないです。
ホドは滅びたけど相変わらずガルディオスの守護者で、おそらく将来的には二人の子供あたりが統治者となるんじゃないだろうか。


 導師エベノスが死亡する事で次代の導師として導師イオンが立つ。
 そういう未来がある。
 それを知っている未来の導師イオン。
 今はダアトにいてそろそろアリエッタと出会うはずだがアリエッタはガーデンの敷地内で普通の子供として走り回っていた。
 アリエッタと出会えずにいるイオンにガーデンは近づき、死預言を詠まれていることを知ってしまっている導師に助かる道を唆す。
 多くの先を知ってしまったが故に心が固く歪んでいる導師の心に手を伸ばし、同意を得るために心を柔らかくする香を使って接触し同意を得た。

 導師守護役にはイオンに任命させてガーデンから戦闘教育を受けた女性を数名送り出す。

 その2010年。
 ガルディオスとフェンデの教育も行き届きそろそろだと思ったガーデンは、国家の樹立を宣言し、各国に使者を送った。
 マルクトからは和平条約の締結を取り付ける。

 そうして導師イオンが導師になった時に、導師は預言を廃絶した都市の存在を広く認める発言をした。
 預言を用いない者たちの存在も認める発言をすることでキムラスカは困惑する。
 その年に今はルークであるアッシュのレプリカを作ったのは、キムラスカだった。

 アッシュはヴァンの魔の手を逃れた物のこんどは母国キムラスカの魔手にあう。
 預言の成就を危ぶんだキムラスカが予備として作ったレプリカだった。
 キムラスカの繁栄のためにルークは死ぬ。
 だがここ最近の情勢を見ていると本当にその未来が訪れるのかが危ぶまれた。
 もし預言のとおりに死んでも預言のとおりの繁栄が来なければそれはただの無駄死にである。
 キムラスカ王統の血を継ぐ貴重な血脈が一つ無駄に消耗されることになる。
 ただでさえ近頃王室の血が弱いのは皆感じているところであった。

 そのために作られたレプリカルーク。

 マルクトほどはっきりとした和平をもぎ取れなかったキムラスカを監視していたガーデンは、それを知って誕生したルークをさらうことにした。
 予備の命とはなんという命に対する不敬だろうか、と。
 わざわざ一度家に連れ帰られたところを自分の意思で逃げ出したかのように工作した上で各地でレプリカデータの破壊工作をした。

 二度と彼らのレプリカなど作られないように。

 そして確執のある二人を宥めて透かして愛して育てる。
 自分の予備が作られたと知ったアッシュ。
 まあルークなわけだがアッシュに改名。
 理由は色々とつけられる。

 キムラスカの目を誤魔化すため、とか生まれなおしの意味、とか、新しい人生新しい名前で、みたいなやつとか。

 で名前はアッシュになったアッシュだが、レプリカに対する思いと言うのはさまざまにある。
 例えば自分の予備として、と言うところに関しては死地に送られる自分とその後釜に立つレプリカと言う形に、母国に裏切られた思いとやはり奪われるのだという思い。
 後者に関してはガーデンで共にいることで解消されるが。

 とにかくめでて育てられた二人は二・三年もすることには確執らしい確執も見られなくなる。
 なにより赤子同然の状況を見てきたアッシュのほうに心情の変化が大きかった。

 ここまでの状況になり導師イオンすら預言は全てではないと公言しその上でなおキムラスカに預言を行えと唆すモースをらりぱっぱーにする。
 予備、保険としてルークが作られたのはモースの作為と関与が大きかった。

 そしてモースを失墜させたガーデンは、将来のガーデンを支える人材の一人としてアニスを雇用し徹底的に簿記を初めとした経営に関する教育を施した。

 そしてヴァン27歳の時、彼はマリィベルとの間に第一子を得る。




書きあがって、《あなたはどちらのIFが好きですか?》とキャッチコピーを付けそうになった代物。

企画で戴いたリクエストに触発されてこんなことも考えてみました。
続きと言うか、もう少し細部と言うか、以前の物と相互補完にして別物と言うわけの分からなさ。
ヴァン師匠も嫌いじゃないし、レプリカだけどマリィベルを見た時に気の強そうな人だと思った。
この人が居たら、あの人もきっと変われたんじゃないかと思った。

リクエストに頂いた方でも書いたような気がするが、考え初めて真っ先に思った事が、えーっと……ND1985年? だれだ、こんな設定組んだのは! まだジェイドがやっと生まれたころじゃないか!
って、私だ! と。
あのファブレ公爵とか巨漢ラルゴとかがもしかしたらまだ紅顔の美少年だったかもしれない頃です。
ビックリです。
彼らは目鼻立ちがしっかりしてますから、きっと幼少のみぎりはかなり可愛らしいあるいは整った顔のお子様だったと思っています。
いや、ラルゴはもしかしたら悪ガキタイプから預言で妻と子供を失うまではいい意味で熟成していったタイプかもしれない。

上にも書いたように年号の設定にえーっ! って思ったり。あの時私は何を考えてそんな年号にしたのだろうか。
そしてどうにも続くにつれて書き方が地割れしている。




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