コーラルレッド



前書き。

これは、以前ビリジアンにあったあとがきを編集したものです。
あとがきである意味が無いと思ったので。
ビリジアンのあとがきを読まれた方は、どうぞまた違う雰囲気でお楽しみいただければと思います。
読まれなかった方は、どうぞこのまま、この色をお楽しみ下さい。




















 貴族意識の高いルークと、貴族階級を持たない僕。
 本来対等に話す筈も無いし、話しているのを見咎められれば叱られるのは彼だ。

 まあ、ルークは貴族意識は高くても、それによって偏見を持つことはめったに無い。
 貴族のステータスは人を判断する一つの基準。
 それを笠に着る人物には不快を示すし、権力がなくても知識のある人物、礼節有る人物、認めるべき人物は認めている。

 僕は、ガイとかいう金髪の使用人のように、あるいは友達のような関係を求めるには、ちょっと年嵩すぎる。
 友達以外のかかわり方、を築くのはあたりまえだけど、友達の出来ようが無い環境にいる彼を、僕はちょっと切なく思う。

 それに、ルークは金髪の使用人に特別に感情を持っているみたいだけど、やっぱり近づきすぎれば怒られる。
 父親じゃなくて、あの変な髪形をした家令に。
 父親は、故意に彼を見ないようにしているのが僕にはわかる。
 けど、息子であるルークにはそれがわからなくて、頑張って目を引こうとしている。
 陰の努力、って言うのを、あんまり見せたがらない子どもだから、この屋敷の人間が彼をどうおもっているのか、僕は不安になった。

 いつも側に居る子ども。
 勤勉で努力家で、そして報われない子どもだ。

 今日もデスクで勉強している。
 家庭教師が居なくなった後の、宿題と復習を。

 そのうち読んでいる本の内容や文法がわからなくてため息を付いた所を、僕は目ざとく見つけた。

「どうしたんだい?」

 と尋ねれば、

「なんでもない」

 と帰って来る。

「どれどれ」
「なんでもないって言ってるだろう!」
「ふ〜ん、これか。確かにこれは、ちょ〜っと難しい表現だね〜」

 と言えば、見上げてくるルークの表情は摩訶不思議としか言いようが無い。

「……判るのか」
「もっちろ〜ん。医者だし、学者だし、戦士だし〜?」

 エンゲーブ限定でね〜。

「……絵本ばかり読んでいるから、字が不自由なんだと思っていた」
「素直は美徳ばかりじゃないけどね〜」

 まさかそう思われているとは思わなかった。

「……わるい」

 謝ることができるのは、いい資質だ。







 その日から、彼にはちょくちょく何かを聞かれることが多くなった。
 父上には聞きに行きたいけど聞きにいけないし、家庭教師は時間が終われば居なくなる。
 メイドに帝王学の本を見せても意味がわからないし白光騎士団以下同文。
 まあ、白光騎士団なら、メイドよりずっと教養は有るだろうけど、聞くのは隠れた努力を旨とするルークにはちょっと、といったところかな。

 まあ、そこで僕の名前が挙がってくるのは単純な消去法だね〜。

 さあルーク! どんどん聞いて僕の凄さに気がつくといい!
 な〜んちゃって。
 でも、時々眼差しから感じる意味が変わってくると嬉しい、かな。

 尊敬とか? 憧憬とか?
 あはは〜、鼻が伸びちゃうよ〜。

 空気とか、大きな置物、って言うのは幾らなんでも寂しいよ。

 少年はこのキムラスカ・ランバルディア王国の有力貴族で、民は背負うものだと思っている。
 けど、やっぱりまだ子供だ。

 寂しそうにしている時を知っているよ。
 父親があれだし。
 子は親を捨てられないのに。

 ねえルーク。
 あんな親捨てちゃいな、とは言わないけどさ。
 僕なら慕ってもぜ〜んぜん、問題ないよ?









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