しょしょしょ、勝利?




 三週目になった。

 師匠も二人の兄弟子もいい人だ。

 何だかんだいって私を可愛がってくれる。

 生活は当番せいで、その大体は修行もかねている。

 体に馴染むっていうのは凄いよね。

 兎追いも、逃げるパターンとか何となく分ってきたし、薪割も随分様になってきたと思う。

 何もかもがボタンひとつな機械都市、コンクリートジャングルに住んでいた私も、サバイバルになれて来ました。

 きっとここら辺りで気が抜けて、風邪引いたりするんだろーなーとか。

 なって見なきゃしょうがないけど。

 そんなときだった。

 二週間目のまき割り時よりは自然に出てきた師匠。

 とりあえず、ペド野郎の汚名はなかったことにしておいてあげます。





「サクヤ。そろそろお前の念を起こそうと思う」

「念って……いずれは習う気でしたけど。無理やり起こすんですか? それともゆっくりと?」

  中味は間違ってもクラピカじゃないから、ここのところ重要だ。

 無理やり起こして間違って死んだらやだし。

 でも半年も瞑想できる自信もない。

 どうするべきか。

 ここはひとつクラピカの肉体を信じて見るか?

 いやだが!!





中味はただの凡人だ!!





 今のところ能力に関する全てをクラピカの肉体に依存しているだけに過ぎない。

 自分のもちえる物など何もないのだ。

 自分の考えにふけっていて、ふと気が付くと師匠がじっと私を見ていた。

「おまえ、念を知ってるのか?」

 うわ、やば?!

 念って極秘事項?

 おカマと呼ばれないためにはあれだけ努力できたのに、ぽろっと口を滑らせた。

 きっと精神を張り詰めていた反動だろうと思いたい。

 師匠達が念を使っているの見た事ないから言い訳できない!!

 弟子から一気に不審者に格下げ?

 格下げ?



 言い訳できないから続きを言ってみた。

「……はい。六性図の事とか、習得率のこととか。水見式についても」

 オーラは生命エネルギー。

 なら念は肉体に依存する。

 で、クラピカは具現化系だった。

 私も、ネットで系統診断やったときは具現化系だった。

 相性はいいかも。なんて。

 水見式じゃなくて、ヒソカみたいに性格から診断するやつだから、正確性はないけど。

 あ、でも、具現化系って、二人揃ったら反発しそうだよね。

 どちらも几帳面で神経質。

  でも自分の日常生活を振り返ったら、放出系じゃないことが不思議だ。

 まったく正反対なのだけど

 またしても己の思考にふけっていたら、またしても師匠にじっと見つめられた。

 今のはむしろ現実逃避っぽかったけど。

 ねえ師匠。

 私、格下げですか?

「おまえ、何処で念のことを知ったんだ?」




   問われても、答えれられる、訳はなし。〈サクヤ、心の俳句〉




 重ねた嘘を、何とかできるほどの頭の回転数はなく。

 ならばよく言うではないか。

 嘘をつくくらいなら言わないほうがましだ。



 実行。



「詳しい事は、いえません。ですが私は、それを知り、求めました」

 あ〜っ! もう!! もっとしゃきしゃき回る頭がほしぃ〜!!

「私の師匠となっては、くれませんか」

 しばらくして師匠はぼりぼりと頭を掻いた。

 ここ最近で学んだ事だ。

 師匠がこの動作に出ると、逃げか、諦めに入っている!

 おそらく、今回の不信は見逃してくれるだろう。

 案の定。

「なに言ってやがるサクヤ。俺はもう、お前の師匠だ」





 ふっ、勝ったぜ(何に)







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