師、想う。




 成り行き上拾っただけだったんだが……思った以上にいい拾い物だったんじゃないかと最近思う。

 まず一つとしてむさくるしい男所帯に入ってきたあいつが意外と料理上手だったということだ。

 メシのランクが確実に二つ三つは跳ね上がった。

 そしてもう一つは、男とは言え暑苦しい野郎どもを見ているよりは遥かに目に優しい見た目をしている。

 これはやはり高得点だ。

 魚釣りは下手だが陸の獲物ならよく取ってくるし、訓練をつけてやれば打撃を受けて転がっても絶対に悲鳴はもらさねぇ。

 見た目ばっかり厳つくなりやがって軟弱な兄弟子達とは大違いだぜ。

 あいつらときたらいてぇいてぇって言ってばかりでむさくるしいやら情けないやら見てらんねぇぜ。

 そこんとこ、あいつは意地でも悲鳴を上げるかって気概がある。

 ころがしてやれば悔しそうに反抗的な目で見て飛び掛ってくる。

 鍛え甲斐が有る弟子ってのはこういう奴の事をいうんだろうなぁ、きっと。

 思わず鍛錬にも力が入るって物だ。




 ちっとばっかし上の空で訓練つけていたら、ちーっとばっかし強く入りすぎたみたいだった。

 やべっ、て思うくらい強く入ったのにやっぱりあいつは何にもいわねぇ。

 ゴロゴロと転がって行く先で木にぶつかって、しばらく痛みを堪えていたと思うと俺を睨みつけて飛び掛ってきた。

 安心したぜ。

 マジでヤバイと思ったからな。

 う〜ん、やっぱりこいつにはこいつの兄弟子達にはないものがあると思うぜ。

 今日は町に下りて色々買ってきたからな。

 肉も野菜もふんだんにある。

 どんな晩飯が出来るかと思うと、訓練中でも思わずにやけ笑いが止まらなくなるぜ。









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